1、不動産の名義変更(相続登記)
相続の手続きは税金の支払いなど期限が決まっているもありますが、不動産の名義変更(相続登記)はどうなるのでしょうか。
名義を変更せずにそのままにしていると罰金か何かのペナルティがあるのではとも考えられます。
結論から言えば特に何もせずに不動産の名義変更をせずに放置していても法律的には問題はありません。
しかし、法律的に問題ないというのは役所などに何の損害もないからであり、相続人やその孫など子孫の代にトラブルが発生する可能性があります。
長期間手続きをせずに放置している方が時々いらっしゃいますが、早めに手続きをすることをお勧めしたいと思います。
ここでは不動産の名義を変更しないとどうなるのかを見ていきたいと思います。
2、放置するべきでない理由
相続の際の不動産の名義変更は義務ではありませんので、放置しても役所などから何か言われるという事はありません。
私も役所で担当者と話をしたことがありますが、「税金さえ払ってもらえば何も問題ありません」と言う事でした。
そして名義を変更するのに期限もないので何年もたってから手続きをすることも出来ます。
時々「不動産を相続したのですが、名義を変更しないといけないのでしょうか」と言う質問を受けます。
「手続きをするのが大変だし、お金もかかる」と言う事なのでしょう。
名義を変更しない事のメリットがあるとすると、費用を節約することが出来るという事です。
ですが,後々トラブルになると節約した費用の何倍ものお金がかかる事になるかもしれません。
一番多いトラブルが気が付いたら相続人が大勢いたというケースです。
例えば名義人である祖父が亡くなりその子供さんたちが手続きをせずに放置したまま子供さんも亡くなっている場合は、その子供さんである祖父の方からみてのお孫さんが相続人となり手続きを行う事になります。
つまり後の代になるほど相続人が増えていき、手続きが煩雑になるのです。
名義人が亡くなりその名義を変更するまでの間の不動産は、相続人の共有となります。
その相続人の一人が亡くなると亡くなった人の相続人に相続されることになります。
この様に名義を一人の相続人にする為に不動産の登記を行う場合は、相続人全員の同意が必要となり書類を送り押印をしてもらう事になります。
全員の同意を得られなければ名義を変更する事が出来ないまま、さらに放置されます。
そして相続人の中に認知症の方がいる場合もあるでしょう。
この様な時は裁判所に相続人の代わりの成年後見人を選任してもらい遺産分割を行う事になります。
この成年後見人の申し立てに数か月はかかります。
この成年後見人を含めて遺産分割協議を行い、全員の同意を得て書類に押印をしてもらい初めて登記の申請が出来ます。
また、必要書類自体を取得できずに名義変更できないという事もあります。
役所では戸籍だと50年か80年、亡くなった方の住民票の除票だと5年の保存を義務付けられています。
今はパソコンなどのデータに保存されているので、この期間を過ぎると直ちに消去されるという事はないでしょうが、結構前のものだと取得が難しくなるかもしれません。
先ほどお話しした様に不動産は遺産分割が終了するまで相続人が法定相続分に応じて共有している状態です。
この相続人の中に借金がある人がいて支払いが滞っている場合、その債権者は借金のある相続人の法定相続分を差し押さえることが出来ます。
遺産分割が終わり、相続登記(不動産の名義変更)をするまでは差押債権者に不動産は自分のものだと主張するすることが出来ません。