1、誰でもなれるのか
任意後見任意になるのに法律上の制限などはありません。
被後見人となる本人の親族や知人がなる事も出来ますし、行政書士や弁護士等の法律専門家の他、社会福祉士などの福祉の専門家もなることが出来ます。
被後見人となる本人が誰になってもらうかを自由に選ぶことが出来ます。
しかし、選ばれた人が必ずしも任意後見受任者(被後見人本人と任意後見契約を結び、将来本人の判断能力が低下した際に財産管理などを行う事が予定されている者)となれる訳ではありません。
任意後見監督人が家庭裁判所で選任されてから任意後見契約が効力を発しますが、任意後見受任者に不適切な事由や不正行為がある時には、申し立てが却下されてしまいます。
どの様な時に申し立てが却下されるのかと言うと
➀任意後見受任者が、未成年である時。
②任意後見受任者が、破産者である時。
③任意後見受任者の行方が分からない時。
④任意後見受任者が、本人に対して訴訟をし、又はした者およびその配偶者並びに直系血族(自己の父母・祖父母、子・孫等)の場合
⑤任意後見受任者に不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある場合。
⑥任意後見受任者が被後見人本人より先に亡くなった時。
この場合は、任意後見契約自体が終了します。
被後見人となる方は、ご自分より若い方を任意後見受任者に選んでおく方が良いでしょう。
2、複数任意後見人
任意後見契約は、委任契約(依頼者が受任者にある特定の法律行為を行う事を依頼し、受任者がその依頼を受ける事で効力を生じる契約)なので、一般の委任契約と同様に複数の任意後見人を選任する事も出来ます。
この場合二つのパターンがあります。
一つは、任意後見人が各自で権限を行使できるとする事です。
例えば、財産管理は専門職にしてもらい、身上監護は親族にしてもらうと言う様に役割分担できます。
又、一人の任意後見受任者に不適任の事由があっても、その他の受任者については任意後見契約を行うことが出来ます。
デメリットとして、各受任者の個別の契約となるので公正証書を各受任者ごとに作成する事となり、人数が多い分、報酬も高額となります。
もう一つは、共同行使とする事です。
相互監視の力が働くので不正が起きにくく、一つの事に協力して取り組むことが出来ます。
しかし、この契約は一つの公正証書で行う不可分の契約となるので、一人の任意後見受任者に不適任の事由が発生した時は、任意後見契約を始めることが出来なくなります。