1、契約の途中で変更できるのか
任意後見契約は契約締結後本人が死亡するまで契約の効力が続きます。
しかし、任意後見契約の途中で任意後見受任者(任意後見契約により本人と契約を締結し、将来本人の判断能力が低下したら財産管理などを行う事が予定されている人)が病気になったり、依頼者の財産状態が変わる事があります。
この場合、任意後見契約を変更できるのかが問題となります。
契約をいったん締結すると任意後見契約が発行する前、つまり任意後見監督人(任意後見人の事務を監督する人の事)が選任される前は契約を変更・訂正するのも改めて公正証書(公証人役場で公証人が作成する公文書)を作成して登記する事になります。
そして新しく作った公正証書に基づいて任意後見監督人を選任申立を行います。
変更した公正証書にも最初に作成するのと同じ手間と費用がかかります。
任意後見契約が発行した後であれば、任意後見監督人が選任され本人は要保護状態になっているので、任意後見人は正当な事由(任意後見人が病気になったり、遠隔地に転居した等)がある時だけ家庭裁判所の許可を受けて解除出来るだけです。
この時は相手方に解除通知を送る必要があります。
任意後見人を変更する時には、一度契約を解除して新しく契約を締結する事となります。
任意後見監督人が選任されていると言う事は、本人の判断能力が低下している状態であり新たに契約を結ぶことが難しい事が想定されます。
この場合は法定後見制度(すでに判断能力が衰えている方の為に家庭裁判所が適切な支援者を選ぶ制度)を検討する事になります。
この様に契約内容が変更する事を考えて初めの契約締結時点で任意後見契約の代理権を出来るだけ広くしておくと言う事も考えられます。
任意後見契約はいかに信頼できる任意後見受任者を選んでおくかが大切です。
信頼できる受任者に様々な事態を想定して代理権を与えておくことが最後まで任意後見制度を行う事にもつながると考えます。
2、任意後見受任者の変更
任意後見受任者が病気になったり、死亡したりして変更する時も任意後見契約で変更する事は出来ず、契約を解除した上で改めて別の人を任意後見受任者に選任して新しい任意後見契約を公正証書で締結する事になります。
3、代理権の変更
任意後見契約の代理権の範囲を変更する時は、いったん契約を解除して新たに任意後見契約を結んで代理権の範囲を決めます。
代理権の追加をする時は、追加する部分だけ新たに任意後見契約を締結する事が出来ます。