1、失踪宣告とは
失踪宣告とは行方不明者を法律上亡くなったことにする制度です。
不在者は死亡したものとみなされ行方不明者の財産を相続したり、行方不明者の配偶者は離婚をしたり、行方不明者を亡くなったものとしたことによる死亡保険金の請求ができるようになります。
相続の際に相続人全員がそろわないと遺産分割協議をすることが出来ません。
行方不明者をまずは探すことになるのですが、税金の申告期限などがありいつまでも探していられないとき等に失踪宣告を行う事になります。
失踪宣告には2種類あって、生死が7年間明らかでない時の普通失踪と船舶の沈没や地震などの死亡の原因となる危難に遭遇して、その危難が去った後生死が1年間明らかでない時の特別失踪があります。
失踪宣告で死亡したものとみなされる時期ですが、普通失踪が不在者の生死が不明になってから7年が満了したときです。
特別失踪は、危難が去った時に死亡したものとみなされます。
2、失踪宣告の手続き
失踪宣告は、普通失踪・特別失踪どちらの時も利害関係人が家庭裁判所に行います。
利害関係人とは、失踪宣告をすることで利害関係を有する人のことで、配偶者や子供、親などの相続人になる者。
保険金の受取人、受遺者(遺言により財産を受け取る人の事)なども利害関係人となります。
申し立てを行うのは、失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
必要書類は以下の通りです。
・失踪宣告申込書
・行方不明者の戸籍謄本
・行方不明者の戸籍の附票
・行方不明という事を証明する書類(捜索願など)
・行方不明者と失踪宣告をする者との利害関係を証明する書類(戸籍謄本など)
費用としては収入印紙800円、切手代(裁判所によって異なります)、官報広告料4,298円、確定証明書の収入印紙代150円などです。
申し立てをする裁判所にも問い合わせてみてください。
3、失踪者が生存していたら
失踪宣告をしたけど、失踪している人が生きていたという事もあります。
この様な場合、失踪者本人か利害関係人が家庭裁判所で失踪宣告の取り消しを行うことが出来ます。
「そんなこと言われても保険金をもう使ってしまった」という事もあります。
使ってしまった保険金を返還する必要はありませんが、手元に残っている保険金は保険会社に返還することになります。
また相続人に引き継がれた財産も行方不明者に変換することになります。
ただし相続財産で生活に余裕が出来た分しか返してもらえません。
ギャンブルなどで減ってしまった分は返してもらえないという事になります。