改正相続法5

1、遺産分割前の財産処分

 相続が始まると遺言がない時は、遺産分割協議を行い相続人が財産を分ける事になります。

その際にあってはならない事ですが、遺産分割協議がなかなかまとまらずにいる間に被相続人の遺産を管理していた相続人が使ってしまうという事があります。

他の相続人からすると頭にくる話ですが、今までの制度では相続開始後で遺産分割が終了する前に財産を処分した場合の規定と言うものがありませんでした。

例えば父親が亡くなり、相続人は長男と次男の子供2人であるケースで相続財産は預貯金の一千万円であるとします。

兄妹で均等に分けるとすると五百万円ずつとなりますが、兄が遺産分割終了前にその五百万円を次男に言わずに使い込んでいました。

この様な場合に現行の制度では、残りの五百万円が相続の対象となります。

つまり兄は、自分が使った五百万と残り五百万の半分である二百五十万円の合計七百五十万円をもらえる事になり、次男にとって不公平な結果となります。

現行の制度でこの様な状態を解消する為には、次男が民事訴訟を兄に対して起こす事になります。

これにかなりの時間と費用がかかりますし、訴訟による労力と精神的負担で疲弊してしまう事もあります。

また、どこまでお金が戻ってくるかも未知数でした。

これでは次男は十分に救済されない事もあるという事で相続法が改正されました。

2、どう変わるのか

改正相続法では、兄が遺産分割前に使ってしまった財産を含めて相続財産を計算する事になります。

残りの相続財産は五百万円ですが、これに兄が使った五百万円を含めて一千万円あるものとして遺産を計算します。

法定相続分は兄と次男共に五百万円で兄は自分が使った五百万円を差し引いてゼロとなります。

次男は、そのまま残りの五百万円を受け取る事になるので財産を公平に相続することが出来ます。

この制度を利用するには使い込んだ方の同意は必要ありませんが、他の相続人の同意が必要です。

遺産を使った兄の同意は必要なく、他の相続人が次男だけである今回のケースでは兄以外の相続人は次男のみですので同意を求める相続人はいないという事になります。

「よかった、これからは相続財産を使い込んだりする人が減るし、使ってしまっても戻ってくるよね」と考えて喜ぶか方もいると思います。

しかし、被相続人の遺産がどれくらいあるのかを相続人の方が日ごろから把握しておく事も大切になってきます。

使ってしまった方が正直に言うとは限りません。

その為に使い込んだ遺産が本当にあるのか、あるとしたらいくらなのかを調べる事もあり得ます。

それに時間を費やし、遺産分割協議が長引くという場合もあるでしょう。

「まあ、そんなことがうちに起こる事はない」と安易に考えずに被相続人の方と普段から相続について話し合っておくなどをして遺産がどのくらいあるのかを知っておくべきです。

 

 

 

 

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