1、言い出しにくいですが
遺言書を作成する事がのちの相続人間の争いを防ぐ事になるのは、相続人は出来るだけ遺言者の意思を尊重しようとするからです。
これに対して相続人で遺産をどの様に分けるのかを話し合う遺産分割協議は利害が対立する事が多いと言えます。
相続人が兄弟姉妹である場合は、自分の収入が少ないと多くもらっている人より財産をもらいたいと言い出してもめる事もあります。
このような事がない様に子供も親には遺言書を残しておいてほしいと考えている場合がありますが「遺言書を書いてみたらどう」などとは言いにくいものです。
しかも親がある程度元気なうちでないと、遺産を誰に相続させるのかを考えながら作成する事は体力も必要です。
「公正証書遺言」の場合は、公証人役場に出向くことになるので遠方の方はなお大変だと思います。
遺言書は作成しておくに越したことはないが本人が作成すると言わない限り周りが言い出しにくいと言う問題があります。
2、この様に話してみてはどうですか
よく言われているのが親戚や家族の集まるお盆や正月などにみんなで話し合うという事です。
どうしても会う機会が少ないと疎遠となり相続になった際にもめる原因となります。
ある程度仲がいいと「まあ、みんなが納得しているのならいいか」という風に波風を立てる事を避ける様にもなります。
せっかくみんなが揃っている時に、何人かで「お父さん、相続の事を考えてみない」と言う感じでそれとなく遺言書の事を切り出してみるという方法もあります。
一人から言われると「俺に死んでほしいのか」と怒る様な事でも何人かで言われると言いにくかったりします。
かわいがっているお孫さんなどがいる時は、そのお孫さんの為にもと言う話をしましょう。
「そうか孫の為になるなら考えてみるか」と思ってくれるかもしれません。
また、芸能人が亡くなりその遺族が遺産を巡ってもめているというワイドショーなどを見た時も話をしてみるいいきっかけになるのではないでしょうか。
「お父さんも亡くなった〇〇さんと歳が近いよね、うちも財産争いにならない様にしないとね」「私たちがもめないようにしておいてね」と言う感じで話をします。
子供さんからそういわれると、「まあ考えないといけないかもしれないなあ、亡くなった〇〇さんほどの財産はないにしても子供の事を考えると何も準備をしていないとまずいかも」と考えてくれるのではないかと思います。
3、言いやすい環境を
家族や親せきは近い関係だけにどうしても他人だったら言えない事がつい口をついて出てしまうものです。
それに加え年齢を重ねると物忘れが多くなったり耳が遠くなったりします。
人間は自分が出来る事は出来ない人に対して冷たいものです。
「さっき言ったじゃない」とか、同じ話を何度も聞き返す事に対して大きな声で腹を立てて怒鳴ってしまう事もあります。
しかし、それでは遺言の話をしにくくなるのではないでしょうか。
自分の子供でも怒る人は怒られる人にしてみれば「敵」でしかありません。
「いずれは自分も歳を取りこうなっていく」と思ってイライラすることなく「まあ、親なんだからそんなに言わなくてもいいか」位に考えましょう。
いつか親は子供より先に亡くなります。
その時に後悔しない様に過ごすことが相続の際にも争わずに済むのではないでしょうか。
どんな事でも話が出来る環境を作る事が大切です。