遺産からの果実、収益

 1、天然果実、法定果実

 一般的に果実と言えば「くだもの」の事を言いますが、法律の世界では果物以外の意味もあります。

法律用語としての果実とは物から生じる利益、収益の事で天然果実、法定果実があります。

この果実を生み出す母体になるものを「元物」と言います。

庭の木に柿がなった、飼い猫が子猫を生んだ、所有する山でタケノコが取れた等が天然果実で、果物はこちらに入る事になります。

これに対し、所有する不動産を賃貸した時の地代や家賃が法定果実の典型です。

2、どのように分配するのか

この果実が相続開始後遺産分割終了までに相続財産から生じた場合どのように分配するのかが問題となります。

これに関してはさまざまな説があり、果実は元物である財産を取得した相続人に当然に帰属すると言う説、果実は遺産の自然的増大であるから遺産と同一視するべきとする説。

遺産は相続開始時に相続人に帰属した財産であるから、相続開始後に発生した財産は遺産と異なる相続人の共有財産であり、各相続人が相続分に応じて取得すると言う説があります。

3、判例

遺産である不動産から生じた賃料を誰が取得するのかが問題となった事案で東京地方裁判所平成18年10月6日判決では次のように言っています。

遺産は、相続人が数人ある時は相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生じる金銭債権は、遺産とは別個の債権と言うべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得すると解するのが相当である。

「何言ってんの、分かりにくいわ~」と思ってしまいますが、原則として相続開始後遺産分割までに生じた果実は、遺産分割の対象とはならないと言う事です。

4、しかし・・・

遺産分割の対象とはならないと言う事は、各相続人が法律で決められた相続分に応じて個別に取得する事になります。

しかし、「いや、でも私たち相続人で話し合って遺産分割の対象にするのがいいんじゃないかと言う事になったんだけど」と言う事もあると思います。

この様な場合に実務では、果実は遺産とは異なる相続人全員の共有財産であるとして相続人全員の同意がある場合には、遺産分割の対象となるとされています。

遺産収益も遺産分割手続きの中で解決できれば総合的、合目的分割と言う遺産分割の趣旨や紛争の一体的解決の要請に沿うと言うことがその理由です。

 

 

 

 

 

 

 

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