1、いつ遺言を作成するか
「遺言書をいずれは作りたいけど、まだ早いかなぁ」と考えている方もいると思います。
中には「遺言書を作るのは縁起が悪い」と思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、考えてみてください、あなたがどんなに若くて元気でも必ず長生きするという保証はありません。
もし、子供さんが小さいうちに父親や母親が亡くなった時は子供さんはどうなるのか、遺言がない場合は相続人間で遺産分割協議をする事になります。
まだ小さい子供さんの代わりに裁判所が選任した「特別代理人」が子供さんの代わりをする事になります。
特別代理人とは未成年者と親権者の利害が対立する場合に未成年者を代理して手続きを行う者を言います。
この特別代理人を選任してもらう手続きにかなりの時間と費用がかかります。
当然他の相続人もいる場合は、その人たちとの話し合いで相続財産をどの様に分けるのかを決める事になります。
この様な状況を避けるには夫婦で遺言をしておく事です。
例えば、「夫(妻)に私の財産を相続させる」とします。
夫か妻の財産はいずれは子供さんのものになる訳ですから、それほど反対される事もないはずです。
15歳になれば親権者の同意なく遺言を作成する事が出来ます。
そして何度でも書き直す事が出来ます。
結婚したら、子供が生まれたら子供さんの将来の為に遺言を作成しておく事が親の務めと言えるのではないでしょうか。
遺言を作成するのに早すぎるという事はないのです。
2、高齢になると
「遺言を作るなら公正証書にしておいた方がいいと聞きました」と言って相談に来る方もいます。
公正証書遺言を作成する場合、まず遺言者に本当に遺言をしたいと思っているのか、誰かに強制されているのではないかと言う事を含めて公証人が作成前に本人と面談をします。
その際に本人が遺言を理解できる能力があるかどうかも確認するのですが、いざ連れて行ってみると相続させる予定である人と別の人に財産をあげたいと言う事もあります。
高齢になっている場合はどうしても記憶があいまいになり、何日か前に言っていた事とは違う事を言う方もいます。
結局、遺言者が財産を渡したいと言って言いる方に財産をあげるのは相続人が反対と言う事で遺言を作る事が出来ないという事になります。
遺言をするのはそれなりの年齢になってからと考えている方もいますが、遺言者が元気なうちに作成しないと作成すること自体が難しくなります。
80歳を過ぎていると、どうしても物忘れの一つぐらいは誰でもあるものです。
「この人は遺言能力がない」と判断される事がない様に遅くても70歳前ぐらいには考えておく方がいいのではないでしょうか。
遺言がない為に相続人同士の争いになり会う事もなくなったという事もあります。
無用な争いをすることなく、トラブルを防ぐ為にも遺言書を作成する事を検討してみてはいかがでしょうか。
「よし、作ってみよう」と思った時が作成のタイミングです。