日本テレビで24時間テレビと言うものが毎年放送されている。
チャリティーマラソンを芸能人が走り、今年は誰が走るのかが話題になる。
障がい者のチャレンジ企画やドラマなどもある。
この24時間テレビが好きで毎年見ている人もいるだろうが、障がい者を見世物にしているとしてあまり好きではないと言う意見もある。
ある作家の人は「出演者には高額のギャラ払い、子供の貯金まで募金させる番組」と言っていた。
「感動する事を強要するから」と言う意見や、「障がいがある方や不幸な方の身の上に涙して、いい事をしている様に見えて実は自分は幸せなんだと再確認しているだけ」と言う人もいた。
もっともな意見だと思う。
私が違和感を覚えるのは、障がい者を題材にしたドラマのストーリーだ。
障がいを負った主人公が初めは自分の現状を嘆き絶望感にさいなまれるが、家族や友達等の仲間の協力で立ち直っていくと言う話が多いと思う。
私は以前、福祉施設にいて入所者が120人前後はいる所だったが、ドラマの様な人は見たことがない。
たいていの人が自分の身内に障がい者がいる事を嫌がり、周りに知られない様に隠したがる。
施設で何か催し物がある時には、身内の方に「見に来られませんか」と電話をかけるが、「あなた達に任せましたから」と言って一方的に切る人が多いと聞いた。
実際に身内の人が来ているのを見たことは、ほとんどない。
障がいがある人と言うのは身内からも見放され、孤独と絶望の中で亡くなっていくと言うのが私が見てきたほとんどのケースだ。
24時間テレビのドラマは、障がい者の本当の現状を伝えておらず、視聴者に間違ったメッセージを送っているのではないかと思う。
ドラマなのだから面白くするために多少の演出があってもいいだろうし、見ている人たちもその位の事は分かっているだろう。
しかし、一番大切な事は伝えないといけないのではないか。
障がい者の8割、9割の人達がどんな状況なのかを取り上げるべきで、「そんな事は出来ない」と言う事なら、ドラマとして取り上げるべきではない。
この手のドラマは全くのフィクションであるドラマとは趣旨が違って当然であり、本当にいるか分からない様な運のいい人を取り上げるのはどうなのだろうかと思う。
今、福祉施設で働いている人たちはこのドラマを見てどう思っているのだろうか。
私と同じ様な事を思っている人も多いのでないだろうか。
取り上げる以上は、どんなに都合の悪い事も伝えるべきで、それがマスコミの使命であるはずだ。
それをしていない24時間テレビは、「障がい者を見世物にしている」と指摘されても仕方がないのではないだろうか。